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2023.05.26 コラム

英語と米語

英語圏に駐在した人なら誰でも一度は経験する英語の失敗や誤解。
私も笑い話になるような失敗を山ほど経験しておりますが、今回は英語と米語の違いに関する経験談をお話しします。

 

私は若い頃ニューヨークに、少し歳をとってからロンドンに駐在しました。
ロンドンに赴任した時は、アメリカの経験もあり、英語はなんとかなるだろうなんて思っていましたが、
意外に通じない、わからないで戸惑った経験があります。
ある時、社長車で接待にでかけた時のこと、運転手さんから、「あなたのカバンはブーツ(boot)に入れておいたよ」と言われて、
なんで自分のカバンが靴のなかに入れられているのだろう?クリスマスでもないし・・・と戸惑ったのですが、
英語では車のトランクをbootというんだと説明されて納得。
その他、ビルの1階と2階を間違えたり(英語では、1階はground floor、2階がfirst floor)、エレベーターはlift、
地下鉄はtubeだったり、列に並べをqueueと言ったり、当初戸惑ったことは結構ありました。
スーパーへ行っても、なすやネギが通じなかったり(英語では、なすはaubergine,ねぎはspring onion)、
単に発音やアクセントだけではなく、単語自体が異なる言葉がありました。

 

最後にアルファベットですが、最後の「Z」は英語ではZedと発音します。
我々が中学校の時、最初に直された「Z」の発音(これはゼットではなく、ヅィーと発音するのですよ)です。
我々が日本で習っていた英語は、実は米語だったんだと改めて認識した次第です。

J.I.

2023.05.12 コラム

米国におけるコロナ関連訴訟 ナイキ社 vs 聴覚障害者

コロナが未だ猛威を振るっていた当時、雇用慣行賠償責任保険の専門家によると、米国におけるCovid-19ワクチンの義務化を始め、
マスク着用義務などをめぐる様々な不確実性は、雇用主に対する損害賠償請求の増加を引き起こす可能性があると指摘されていました。
例えば、ワクチン接種は差別的インパクトがあり、差別のトラブルに雇用主が巻き込まれる可能性もあるだろうと指摘しました。
そうした中、当時あのスニーカーのナイキ社がカリフォルニア州において聴覚障害者から訴えられたというケースを紹介します。

 

同社の店舗の1つで買い物をしようとした聴覚障害者の女性が、
口が隠れる不透明なマスクを店員が使用していたことに対して訴えを起こしました。
原告は、従業員に不透明なフェイスマスクを着けさせるというナイキ社の方針により、
「不透明なマスクは音を消すだけでなく、難聴者がスピーチを理解するために頼っている着用者の口や表情の視覚化もブロックするもので、
ナイキは州法および連邦法に基づき、聴覚障害者または難聴の顧客に追加の補助具またはその他の合理的配慮を提供して、
店舗の従業員と効果的にコミュニケーションできるようにする義務がある」と主張しました。

 

最終的にナイキ社は、フェイスマスクを提供するという州や国の方針が有効である限り、聴覚障害者の顧客に対応するために、
店舗の従業員に透明なフェイスマスクと、コミュニケーションの手段としてペンおよび紙を提供することで原告と和解するに至りました。

 

この結果を受けて弁護士は、多くの企業が州および連邦安全ガイダンスに従って従業員と消費者の両方にマスクの着用を要求しているが、
この方針は、障害者のために便宜を図るよう求める法律と合致する方法で運用されなくてはならないとコメントしています。
また、小売業者は顧客が便宜を求めたときに適切に対応できるよう、従業員に訓練することを推奨するとともに、
雇用主は職場の聴覚障害のある従業員のためにも同様の便宜を図ることを検討する必要があるかもしれないとも述べています。

Y.H.

2023.04.28 コラム

ケルトの国―アイルランド小噺《アイルランドとアメリカ③ 》

アイルランドとアメリカの関係のこの章で最後にアメリカ社会において、
いかにアイルランドが深く影響を及びしているかがよくわかるエピソードをいくつかさらにご紹介したい。

まず、アイルランドは、伝統的な独自の音楽・ダンスが盛んで有名だが、アイルランド移民がアメリカに持ちこんだアイルランド民謡は、
他の移民の音楽と交わることにより“カントリー&ウエスタン”という音楽に発展したと言われている。

また、足だけで踊る“アイリッシュダンス”は、アメリカにわたり、アフリカ系アメリカ人のダンスと融合することにより
“タップダンス”として独自のスタイルを確立した。これは意外と知られていない。

 

さらに、アイリッシュ系アメリカ人には著名なアメリカ人が非常に多い。特に政治家と映画・テレビ俳優。
大統領でいえば、生粋のアイリッシュである、ジョン・F・ケネディーを筆頭にロナルド・レーガン、ビル・クリントン、バラク・オバマ、
そして現大統領のジョー・バイデンは生粋のアイリッシュ系米国人で、累計するとアイリッシュ系のアメリカ大統領は、
20人以上いると言われている。

映画・テレビ関係だと、クリント・イーストンウッド、ジョン・ウエイン、グレース・ケリー、ジョージ・クルーニー、
シャロン・ストーン、ハリソン・フォード、マーロン・ブランド、ジュリア・ロバーツ、リチャード・ギア、アン・ハザウェイ、
ジョニー・デップ、トム・クルーズ、メリル・ストーン等々、超スーパースター(かなり主観が入った選択)だけ挙げても
これだけいるのでその広がりは半端ではないことが想像つくであろう。

音楽・スポーツ、ビジネス等でも数えきれないくらい有名なアイリッシュ系が多い。
マライア・キャリー、ジャック・ウェルチなどもアイリッシュ系である。

 

蛇足になり、アメリカから脱線するが、ビートルズのジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリソンも
アイルランドの血が色濃いイギリスのミュージシャンであることをビートルズの狂信的なファンとして最後に付記しておきたい。

彼らの出身地のイギリスのリバプールもまた、アイリッシュ系移民が非常に多い街として知られている。

Y.T.

2023.04.14 コラム

ケルトの国―アイルランド小噺《アイルランドとアメリカ② 》

アイルランドは現在人口五百万人ほどであるが、かつては八百万人の人口があった。
ところが、1840年代にアイルランド人の主食であるジャガイモの大飢饉が起こり、百万人が餓死や病気で亡くなり、
二百万人が北米へ生き残るため移民することになる。

映画「タイタニック」でデカプリオ演じる主役の男性は、まさしくアメリカに移民するアイリッシュであり、
映画での船底の一番安い部屋でアイリッシュたちが音楽やダンスをしていたシーンを思いだされる方も多いのではなかろうか。
また、有名な映画「風と共に去りぬ」の主人公スカーレット・オハラや家族もまさしくアイリッシュ移民が南部で成功した
大農園地主の一族として描かれているが、有名な最後のセリフ「タラへ帰ろう」。これもアイルランドの伝説の聖地と言える場所、
アイルランドの首都ダブリンの北西部にある「タラの丘」に由来することは、疑問の余地はない。

 

現在アメリカには、アイルランド系と呼ばれる人が、少なくとも四千万人いると言われている。
アメリカは移民の国であるが、その中でも一大勢力と言って間違いない。
例えば、アメリカ大統領と毎年必ず面会できる国のリーダーは、アイルランドしかないだろう。
別の機会でご案内させていただく予定のアイルランドの国民的祝日であるセント・パトリックス・デー(3月17日)には、
アイルランドの首相は、米国を訪問して米国大統領と首脳会談を行うことが約束行事とされている。
それもひとえに、アイルランド系米国人のアメリカでの影響力の大きさを示している典型的な例である。

 

もうひとつの例として、アメリカへの入国する際の入国審査を他国で行える空港をご存じであろうか?
アイルランドのダブリン空港、シャノン空港は、自国に居ながらにして、米国への入国審査が行える数少ない空港となっており、
これを見てもアイルランドと米国の関係のつながりの深さが理解できる。
非常に多くのアイルランド系米国人が自分のルーツを訪ねてアイルランドを訪問し、
アメリカ人にとってのアイルランドが観光先の最大の人気スポットの一つとなっていることからも納得がいく。

Y.T.

2023.03.24 コラム

ケルトの国―アイルランド小噺《アイルランドとアメリカ① 》

前回アイルランドとハロウィンとの関係について触れて、しばらく間が空いてしまったが、今回は、
ケルト起源のこの行事がなぜ今や世界的に有名なイベントになったか、その経緯について改めて触れてみたい。
そのためには、アイルランドとアメリカ合衆国との関係について触れる必要がある。

 

まず結論から申し上げるとハロウィンの起源となったケルトの行事であった「サウィン」はアイルランドからアメリカへの大量の移民によって
伝えられ、根付き、さらにアメリカで独自の現在の商業的なイベントに変貌することになる。
例えばハロウィンで有名なかぼちゃ、パンプキンをくりぬいて作る”ジャック・オー・ランタン”は、
もともとアイルランドの昔話に由来していて、アイルランド人のジャックが生前の悪行がたたり、
死後天国にも地獄にも行けず暗く冷たい闇の中くりぬいたカブの中に石炭を入れてランタンがわりにしたところから生まれており、
アメリカでカブからよく栽培されていたカボチャに変わったというのが通説である。
また、子供たちの行事で有名な”トリック・オア・トリート”も、ハロウィンがケルトの迷信的なイベントからアメリカでパレードなどを含む
お祭り的なイベントに変わっていく過程で、ハロウィンでの悪戯が行き過ぎて破壊行為、暴行、犯罪行為へと変化した時代
(何か今の日本・韓国のハロウィンを彷彿とさせる?)があり、子供たちが安全に参加できるようにアメリカの自治体や学校が
現在のようなお菓子をもらえるような安全なスタイルになるよう取り組んだところ現在のような形になったと言われている。

 

ただ、これも元々は、ハロウィンの起源であるケルトの「サウィン」で歓迎されざる悪霊を追い払うため、
歓迎されない霊をなだめるためにお供え物やケーキ等を用意して置かれていたことが起源のひとつともいわれていて、
その後中世ヨーロッパで“ソウリング”というキリスト教と融合する形で死者を供養するための“ソウルケーキ”(ソウル=魂)を
乞い歩くようになったものが、さらに上記の通りアメリカでより商業的なイベントに変貌したとも言われている。
では、なぜアイルランドから多くのアイリッシュがアメリカへ移民したのか、その歴史について次回以降触れてみたい。

Y.T.

2023.03.10 コラム

心のオアシス

オアシスを中国語では「緑洲」と言います。漢字がその意味を的確に表していると思います。
話は今から30年ほど前に遡りますが、当時北京に駐在していた私は、同業の友人たちと団を組みシルクロードを旅したことがあります。
北京から新疆ウイグル自治区の首都であるウルムチまで飛行機で行き、そこで小型バスをチャーターして天山南路を西へ西へと進み、
中国最西端の町カシュガルまで歩を伸ばしました。
タクラマカン砂漠を横断する旅でしたが、車内で喜多郎のCDを聴きながらの旅は、
その音楽の調と相まって正しくシルクロードを旅する「遊子」の心境でした。
いっとき現世を忘れる時間でもありました。どこまでも果てしなく続く真っ直ぐな一本道。
「月の砂漠」のイメージとは全く違い、外は常に強風が吹き荒れ、走れども走れども車窓の外には荒涼たる茶色の世界が広がっていました。
まるで私たちが立ち入るのを拒絶するかのように。

どのくらい走ったでしょうか、突然右前方に青々とした一帯が見えてきました。
「オアシスだ!」 ・・皆一様に声を上げました。
天山山脈を源泉とする地下水が地上に溢れ出てきたところにオアシスができていたのです。
その幻想的な光景は今でも目に焼き付いています。
オアシスは遥か遠く北京から来た遊子たちの心を潤し優しく包み込んでくれました。
古代の旅人たちもきっと同じ思いだったに違いありません。

「对我来说,你是沙漠中的绿洲(=君は僕にとって砂漠の中のオアシスだ)」・・北京のスナックでこんな殺し文句を使う駐在員がいたとか。
娯楽に乏しいその当時の北京生活では、こうした場所は乾いた心を癒してくれる心のオアシスだったのでしょう。

さて、このコラムをお読みの皆さんは何か心のオアシスはお持ちですか?
心がちょっぴり乾いたり、少し風邪気味かなと感じたりしたとき、
心のオアシスがあればきっとそうした心に潤いを与え優しく癒してくれるはずです。

( ※ 効果には個人差があります)
Y.S.

2023.02.24 コラム

保険と宗教

今から40年近く前に90歳で亡くなった私の祖父は天台宗の僧侶で、おしゃべりが上手だったのであちらこちらから講演を頼まれたようです。
そのいくつかがカセットテープに残っており、その中に「保険と宗教」と題した短い講話がありました。要約するとこんなことを言っています。

 

戦国時代の武将も信仰を拠り所とした。
上杉謙信は毘沙門天を信仰し、加藤清正は南無妙法蓮華経を唱え、徳川家康は「厭離穢土欣求浄土」
(篤く信ずれば、来世では幸せの世界が待っている)を旗印とした。
人生は哲学(宗教)を持たねばならない。平時においては宗教がなくても問題ないが、一旦事あると人間は動揺してしまう。
先の大戦中、ある大隊に頼まれて、兵士の心構えについて、「喧嘩とか戦争で勝つか負けるかはやってみないとわからないが、
負けるかもしれんと考えると人間は動揺する。この戦争には勝ち抜いて、この国を守らなければならないという信念が必要である。
どんなことがあっても動揺しない信念が肝要である。この信念により戦い抜く勇気がでてくる」
というような話をしたら、大隊長からえらく感謝された。
ところで保険がもたらす信念は何であろうか。人生には必ず危険が伴う。
保険には、どんな時にも動揺しない助け合いの仕組みがある。
人間はどんな時にも底力のあるものに人生を預け、自分は動揺しないことが重要だ。
信玄も清正も家康も神仏に自分を預け、そして動揺することなしに戦地に向かった。無事ということは、平穏で安心だということではない。
どんなことに出会っても問題にしない、動揺しないということ。
三十三間堂の千手観音は、その場その場で拘りなく如何様にも対応する、悟りの境地を体現している。宗教は預けること。
ものに拘る気持ちを神仏に預ける、これが宗教であり、保険に似ているところがあると思うのである。

 

保険という金銭的サポート(生命保険をメージしているようです)があると危急の時に動揺しないかと言われると、なかなかそうはならないと思うので、少しこじつけが過ぎるような気がしますが、このような見方もあるのだと思い、ご紹介する次第です。
J.I.

2023.02.10 コラム

軸足 利き足による損害防止

こんなデータがあります。
幼稚園児に運動場のトラックで走ってもらいます。先ず右利きと左利きにグループを分けます。
右利きグループに反時計回り(通常のトラック競技の向き)で一周。次に逆の時計回りで一周。
するとタイムは前者の方が良いのです。
今度は左利きグループに同様に反時計回りで一周、更に時計回りで一周走ってもらいます。
すると後者の方のタイムが良くなります。

 

これはカーブを走る時に、内側に軸足、外側に利き足だと、利き足で上手く調整しながらカーブに沿って走れるが、
逆に内側が利き足、外側が軸足だと、調整が上手く出来ずにスピードが落ちる為とのことです。
何のトレーニングも受けていない幼稚園児が、自然体で走ってタイムに差が出る訳ですから、それなりに説得力があると思います。

 

荷役の現場に於いても、この軸足利き足は考慮すべき要素となります。
ベルトコンベアから荷物をピックアップし卸す作業を想定します。
左から流れてきた荷物を、流れに沿ってピックアップし、右側の床に置く場合、体の動きは左足を軸足として回転し、
荷物を床に置くことになります。利き足が右足なら、スムーズな動きとなります。
しかし、利き足が左の人(左利きの人)にとっては遣り難い作業です。
この軸足利き足が逆の作業を続けると、軸足利き足がマッチした作業環境より事故率が10%上がると言われています。

 

因みに日本人の右利きと左利きは9:1程度。右利きの人は利き足も右が多いのですが、利き足の方は右:左が7:3程度とのことです。
このように右利き、利き足が右という方が多い訳ですが、作業環境が軸足利き足にマッチしたものとなっているか、
荷役現場を管理する方は今一度見直されては如何でしょうか。
J.G.

 

2023.01.27 コラム

宗家の三姉妹

「歴史の陰に女あり」という言葉がありますが、歴史に名を遺した偉人達にはそれを陰で支えた女性たちの存在がありました。
代表的な例を挙げれば、私は日本では山之内一豊の妻「千代」、世界を見ればナポレオンの最初の妻「ジョセフィーヌ」などを思い出します。

さて、20世紀初期、中国にも中国の歴史の方向性に大きな影響を与えた三姉妹がいました。
その生き様は「宗家の三姉妹」と題して映画にもなっています。(1997年/香港・日本合作映画)
その三姉妹とは、宋藹齢、宋慶齢、宋美麗。
彼女たちは上海の大財閥の娘で、長女の宋藹齢は山西省の財閥の当主である孔祥熙に、次女の宋慶齢は国父と言われた孫文に、
三女の宋美麗は中華民国総統の蒋介石に嫁いでいます。
その生き様から、宋藹齢は富を愛し、宋慶齢は国を愛し、宋美麗は権力を愛したとも評されています。
激動の中国近代史の渦中に身を置きながら、陰に陽に夫を支え続けた三姉妹。
もしこの三姉妹いなかったら中国はどういう歴史を辿ったのか。

翻って私も含め今の世の殿方は、自分が如何に奥方に支えられているか、きちんと自覚しているでしょうか。
胸に手を当て改めて考えてみたいものです。
中国建国の父毛沢東は女性をこう表しました、「半辺天」(天の半分は女性が支えている)と。
Y.S.

2022.12.27 コラム

サッカー2022年W杯 クロアチアチーム

約1か月に亘り中東カタールで繰り広げられたサッカーW杯は、南米の雄アルゼンチンの優勝で幕を閉じました。
私は去る6月に、日本チームがどこまで勝ち進むかについてやや悲観的な予想をしましたが、ドイツやスペインを破るという予想外の出来で、
日本サッカーもまた一歩前進という感を強めました。
今回は、その日本の躍進ではなく、ベスト4まで勝ち残ったクロアチアに注目しました。

 

皆さんも、人口わずか400万人の小国がどうしてあんなに強いのだろう、最後までがんばれるのだろうと思ったのではないでしょうか。
今回のW杯でクロアチアは、なんと4つの試合を引き分けながらPK戦で勝ち上がり、あのブラジルも倒して、最終的には3位になりました。
前回大会も準優勝ですから、押しも押されぬサッカーの強豪国になりました。
もちろんクロアチアの選手は、自国では稼げないので、欧州を中心とした他国の強豪チームに所属して活躍しており、
欧州のトップレベルの選手たちが多くいることも勝因の一つだと思います。
ただ、私はクロアチア選手のメンタルの強さに注目します。

 

クロアチアは、ユーゴスラビアから独立してまだ31年の若い国です。
もっとも、クロアチアを含めたバルカン半島は古い歴史を持ち、民族、宗教、文化が入り混じった複雑な地域で、
合従連衡を繰り返してきました。
昔から紛争が絶えず、バルカンの火薬庫とも言われています。
ですから、クロアチアをはじめ、ユーゴスラビアから独立した国々は、複雑な背景を持つ人々の集まりだからこそ、まずは国としてまとまり、
仲間意識を持つことが重要で、その意味でスポーツ、特に欧州で盛んなサッカーは、他国(敵)と自国(味方)を明確に見せつけ、
仲間意識醸成に重要な役割を果たしてきているのだと思います。
別の言い方をすると、クロアチアのサッカー選手は、戦士と同様、国を背負って戦っているのです。
俺たちはクロアチア人だと高らかに叫び、クロアチアの勝利を国民に届け、
それにより国民は国民意識を高め、一つの国としてまとまっていくことができるのです。

どこかの国の監督が、「ベスト8に入って新しい景色を見たい」と言っていましたが、失礼ながら、こののんびりとした目標を持つチームと、
国を背負って戦いに来ているチームとの差が、やはり最後の最後にはでたのではないでしょうか。

J.I.